”小説のなかの気に入った文章の記録”が残っていた
てらいだです。
iPhoneのメモに“小説のなかの気に入った文章集”があった。
久しぶりに見たからなのか、めちゃ楽しかったので記事にしてみる。
だいぶ前に読んだ小説ばかりで、いまみると「なにこれ」と思うのも中にはあるが、それでも当時一瞬でも自分が気に入った文章というのは興味深い。
これが全く別の誰かにも面白いと感じられるのかは気になるところだ。
『氷菓』 米澤穂信
品位ある千反田家の御令嬢は満面の笑みを浮かべるようなことはしないが、喜怒哀楽でいうならまじりっけなしの喜。
一円以下の価値のものを拾うために身を屈めても、必要なエネルギー消費は一円を上回ってしまうというのは省エネ者の間の常識だ。
『レインツリーの国』 有川浩
女優のナナコ狙いでギリギリ二塁打、化粧で稼いで三塁に届かせましたって感じか、と冷静な分析は、実家が美容院をやっていた関係だ。
『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎
相手は小声で礼を口にした。どうやら礼のようだと想像することができる程度のものだった。
自分の臆病を隠すために、身近な者の前では乱暴な口調になる、まさに生前の父の喋り方そのものだった。
「死体が好きな人がいたら教えてほしいわ。吸血鬼だって死体に興味がないのよ」
「誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。まあ、時には自分が人生のプロであるかのような知った顔をした奴もいるがね、とにかく実際には全員がアマチュアで、新人だ」
「いいか、嫌なことだとか、悩み事だとか、気になることがあるだろ。そういうのは考えなきゃいいんだよ。そういうのはよ、頭で考えるから深刻になるんだ。胸にある時はもっと漠然とした気分なんだよ。それが頭で考えるからまずいんだ。」
『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦
その店はありとあらゆるカクテルが三百円で飲めるという、お財布への一抹の翳りあるわたしのような人間のために神が与えたもうたお店だったからです。
私を見つめるぐらいならば、炊飯器を眺めているほうが心楽しい充実した時を過ごせましょう。
万事ことごとく休す。
さて、読者諸賢。お久しぶりである。薄暗い路地にて、下半身のただならぬ開放感にどぎまぎしていた私だ。
『成功者の告白』 神田昌典
気づいたときには、父は父で必要以上に自分の意見を押しつけようとし、タクはタクで必要以上に反抗的な態度をとっていた。押しつけよう、押しつぶされまいと揺れ動く重力場の中に、家庭があった。
この環境では、変化に適応できる能力こそ安定を生む。看板や地位にしがみつくのではなく、自らを破壊し、柔軟に変化するからこそ、価値を生み出せる世の中になっている。
こんな自分なりの考えを、タクは父にわかってほしかった。
以上、メモにあった“小説のなかの気に入った文章集”である。
正直内容はあまり覚えていないものもある。
あとこれ以外にもちゃんと本を読んでる。記録してないだけ。
歌の歌詞とかをLINEのひとことにしたりするひとはよく見る。
だからというわけではないが、本の気に入った文章を共有することも楽しいのではないか、
と思うのです。